膝関節の痛み

膝の痛み



当院では膝の痛みに悩まされている患者さんに対して、大学病院などで人工膝関節置換術を専門に行い、膝が痛い方を保存療法から手術療法まで数多く治療してきた経験から専門的な診断、治療が可能です。

膝の痛みで悩まれてる方はどうぞ御相談ください。


膝のしくみ

膝(ひざ)は太ももの骨である大腿骨と、すねの骨である脛骨、お皿の骨と呼ばれれる膝蓋骨の3つの骨から構成されている関節です。

それぞれの骨の表面には弾力性のある軟骨が覆っています。軟骨によって関節がなめらかに動くようになり、体重がかかった時の衝撃を和らげるクッションの役目もします。

膝には4つの靱帯があり、前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、外側側副靱帯によって安定化されています。
また、大腿骨と脛骨の間にある半月板にも、関節に加わる衝撃を吸収する役目があります。





膝に痛みを感じる場合、関節が原因であることが多いです。
膝関節というのは、曲げる、伸ばすという動きしかしませんが、股関節や足関節と同様に体重のかかる荷重関節でもあることから、加齢による衰え、運動や労働による負荷のよって、痛みが起きやすい部位でもあります。

膝の痛みの原因となる主な疾患

・変形性膝関節症


変形性膝関節症とは

膝が痛くなる代表的な疾患です。

膝関節にある軟骨が、加齢、あるいは運動や過労による負荷によって、徐々にすり減っていき、進行するとなくなってしまいます。
クッションの役割をする軟骨が減少することで骨に負荷が加わり、痛みを生じます。

進行すると膝の骨が変形してO脚になり、膝の曲がりが悪くなり、まっすぐ伸びきらなくなります。
50~60歳位から発症しはじめ、女性の方が男性よりも1.5倍から2倍多いことがわかっています。


変形性膝関節症の症状

主な症状は膝の痛みで、水が溜まる場合もあります。
発症して間もない頃は、動き始めに膝が痛み、ある程度膝を動かしたり、休んだりすることで痛みは少なくなります。

その後、症状が進行するにつれ、膝を動かしてる最中も痛みが続き、やがて正座やしゃがむという動作が困難になるほど膝の曲がる角度が制限されます。

さらに悪化すると安静時や夜間に痛みが続き、歩行自体も難しくなるほどに異常生活に支障をきたすようになります。


変形性膝関節症の診断

膝の動きや腫れの程度を触診し、X線撮影で診断します。
軟骨の部分はレントゲンに写らないため、大腿骨と脛骨のすきまが狭くなってきます。
末期になると関節の隙間がなくなり、骨同士があたるようになります。


変形性膝関節症の治療

薬物療法、運動療法などの保存療法が中心ですが、それだけでは改善が難しいと判断すれば手術が必要になることがあります。

保存療法(手術以外の治療法の総称です)
生活の注意点
膝に負担をかけないことがとても大切です。
痛みがある時は膝に負担がかかる運動、長時間の立位や正座はなるべく避けるようにします。

歩く時に杖を使うことで負担を減らすことができます。
体重が重たければ、それだけ膝にかかる負担が増えるため、減量も必要になります。

薬物療法
痛みや腫れが強ければ鎮痛薬の内服や外用薬(湿布や塗り薬)を使用します。

ヒアルロン酸を膝関節内に注入する関節内注射を行います。
ヒアルロン酸には軟骨を保護し、潤滑機能を改善させる効果があります。

激痛で歩けない場合は、安全な量のステロイド剤を注射することもあります。

運動療法・リハビリテーション
太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)などの膝周囲の筋肉をきたえることが効果的です。
筋力を増やすことで、膝への負担や衝撃を和らげることができます。医師や理学療法士から指導を受けて行います。

温熱療法
温熱療法とは、温めることで膝関節の周囲の血行を良くし、痛みを和らげる治療です。
当院では電気刺激、磁気刺激、干渉波、ラジオ波による治療機器がありますので、患者さんの状態にあわせて選択します。

装具療法
サポーターや足底板などを使用することによって、膝にかかる負担を減らすようにします。

このような保存療法だけでは痛みなどの症状を改善させることが困難で、歩く時に痛むだけではなく、安静時や夜間にも痛みが強く日常生活に支障をきたす場合は手術療法が検討されます。

手術療法
関節鏡手術、骨切り手術、人工関節置換術があります。

なかでも人工関節置換術は、変形した関節の骨を人工関節(インプラント)に入れ替える手術で、痛みの原因になる部分を取り除くため、痛みの改善に大きな効果があります。

人工関節置換術には膝の内側もしくは外側の変形した部分だけを入れ替える人工膝関節単顆置換術と、末期変形性膝関節症の患者さんに対応した、膝の全関節を人工関節に入れ替える人工膝関節全置換術があります。




特発性膝骨壊死(大腿骨内顆骨壊死))

一般的に60歳以上の女性に多く発症します。
膝関節の骨の一部に骨壊死が生じる原因不明の疾患です。

主に体重がかかる大腿骨の内側(内顆)が好発部位です。
変形性膝関節症は徐々に痛みが強くなっていくのと比べると、骨壊死は急に激痛が起きて発症します。

明らかな原因がなく発症する場合を特発性と呼びます。
高齢の方では骨が弱くなっているところに負荷がかかり、軽微な骨折が起きることが原因とも考えられていますが、詳細は不明です。

発症後1~2ヶ月はレントゲンで壊死の変化が見られないことが多く、MRI検査が診断に有効となります。
発症して数ヶ月経過すると壊死の部分が丸く透けて見えるようになります。
進行すると関節面が陥没して末期の変形性膝関節症になることもあります。




特発性膝骨壊死の治療法

保存療法
壊死を起こしているからといって始めから手術を行うことはありません。

主として保存療法を行います。
変形性膝関節症と同様に膝への負担を減らし、鎮痛薬の服用や関節内注射などの薬物療法、運動療法、装具療法を行います。

保存療法で痛みが改善してくる場合も多いですが、強い痛みが続く場合には手術を検討します。

手術療法
骨切り術、人工膝関節置換術があり、患者さんの年齢やレントゲンの進行具合から判断して選択します。
大腿骨の内側だけが痛むことが多いので、人工膝関節単顆置換術が適応になることも多いです。