野球肩
・原因
投球過多、フォーム不良、全身的要因(下肢、体幹など)により肩関節に負荷が加わり発症します。
肩関節前方の緩みや、筋肉、関節包の硬さが考えられています。
・診断
問診、病歴、理学所見、視診、圧痛、可動域、特殊検査、投球テスト、画像診断を総合的に評価していきます。肩関節のみにとらわれず、下半身、体幹を含め診察します。
・治療
まずは投球制限による局所の安静とフォームチェック、全身のコンディションを整えます。
肩関節に対してはストレッチにより拘縮の軽減、肩甲骨の可動性の回復を図り、安定性を向上させていきます。
注射や投球フォーム指導を行っても3か月以上症状が改善されない症例では、手術を選択する場合もあります。
頸椎症
・症状
頸椎の中には、脊髄という神経と神経根という神経が通っています。脳から脊髄が下りてきて、頸椎から神経根を介して手に神経が出ていきます。
頸椎症性神経根症は、脊髄から外へ出てきた神経根という神経が圧迫されることで、手のしびれ、手の痛み、首から肩・腕・指先にかけてしびれや痛み、そして手の指が動かしにくいなど、上肢や手指の麻痺の症状がみられます。
・原因
頸椎は年齢とともに変化します。椎間板が弾力を失ってクッションとしての役割が果たせなくなり、椎骨と椎骨がこすれ合って変形をしたり、骨の並び方に変化が見られてきます。
これらの変形によって、脊髄や神経根が圧迫されて痛みやしびれ、麻痺などが生じてきます。
・治療
保存療法→安静や薬物療法が中心です。
手術療法→脊髄症状が進行する場合や日常生活に支障がある場合には考えられます。
腱板損傷
・症状
40歳以上の男性(男62%・女38%)、右肩によく見られます。発症のピークは60代。
肩の運動障害、運動痛、夜間痛が発生します。夜間痛で睡眠がとれないことが受診する一番の理由となっています。
五十肩と違うところは、拘縮、すなわち関節の動きが硬くなることが少なく、他には拳上するときに力が入らない、拳上時に肩の前上面でジョリジョリという音がすることがあります。
・原因
腱板が骨と骨にはさまれた場所にあることと、腱板の老化が原因です。
明らかな外傷によるものは半数で、残りははっきりとした原因がなく、日常生活動作の中で断裂が起きます。
男性の右肩に多いことから、使い過ぎが考えられています。
若い年齢では、投球肩で不全断裂が見られます。
・治療
保存療法→急性外傷の場合は、三角巾での安静。注射や運動療法が行われます。腱板のすべてが断裂することは少ないので残っている腱板の腱板機能訓練は有効です。
手術療法→保存療法で肩関節痛と運動障害が治らない場合は行うことがあります。