手の痛み

手根管症候群

・症状
示指・中指を中心にしびれ、痛みが出ます。しびれは環指、拇指に及ぶこともあります。
これらは明け方に強くなり、手を振ることで楽になります。
拇指の付け根(拇指球)がやせてきて、縫い物やボタンかけなど細かい作業が困難になり、指で OKサインができにくくなります。

・治療
飲み薬、局所の安静、ブロック、手術などにより治療します。

キーンベック病(月状骨軟化症)

・症状
手を使った後、手首に痛みと腫脹が見られます。握力が低下し、手首の動きが悪くなります。

・原因
原因は不明ですが、月状骨がつぶれる病気です。職業的に手をよく使用する青壮年男性に多くみられます。女性の高齢者にも見られることがあります。

・治療
症状、年齢によって治療が変わります。安静やギプス、装具による固定が行われますが、治らないときは、色々な手術を行います。

三角繊維軟骨複合体損傷(TFCC損傷)

・症状
腕を捻ったり手首を小指側に曲げた時に、小指側に痛みが出現します。
通常安静時痛はありません。

・原因
手首の小指側にある三角繊維軟骨複合体(TFCC)という組織が損傷されることで痛みが出ます。
けがによるものと、加齢に伴うものに大別できます。後者では、無症状のこともあります。

・治療
保存的療法→固定やサポーターによる局所安静、局所麻酔入りのステロイド注射で炎症を抑える。
手術療法→内視鏡による修復術や尺骨短縮術など様々な手術法があります。

へバーデン結節

・症状
示指から小指にかけて第1関節が赤く腫れたり、曲がったり、痛みを伴うこともあります。
動きが悪くなり、痛みのため強く握ることが困難になります。

・原因
原因は不明ですが、局所の所見は第1関節に発生する変形性関節症です。
一般に40歳代以上の女性に多く発生します。

・治療
保存療法→最初に行います。薬物療法や局所のテーピング
手術療法→保存療法で痛みがとれなかったり、変形がひどくなり日常生活が困るときなど考えます。
当院の、手の外科専門医にお尋ねください。
     

舟状骨骨折

・症状
けがの直後では、手首の母指側に痛みと腫れが生じます。時間とともに軽快しますが、放置していると骨折部がつかずに偽関節となります。手をついたり重いものを持った時などに手首に痛みが生じ、力がはいりにくく動きも悪くなります。

・原因
多くの場合、スポーツや交通事故などで手首を背屈して手をついた時に生じます。
この骨折の特徴は、骨折と思わず捻挫と思ったまま放置したため、偽関節になることがあります。

・治療
まず、レントゲン検査を行います。受傷早期の場合は骨折を診断できないことがあるため、MRIやCTも合わせて検査を行っていきます。
舟状骨は血行が悪いため、非常に治りにくい骨折のひとつです。受傷直後に診断がついた場合はギプス固定で治すこともあります。この固定が長期に及ぶことが多いため、最近では手術によって治療期間を短縮することも積極的に行っています。
早期での、専門医(手の外科医)の受診をお勧めします。

     

マレット変形(槌指)

・症状
手指の第一関節が曲がったままで腫れや痛みがあり、手伝ってやれば伸びますが、自分で伸ばそうとしても伸びない状態。

・原因
突き指の一種で、ボールなどが指先にあったときに起こります。
指を伸ばす腱が切れた状態と腱がついている骨の一部が折れた状態の2つのタイプがあります。

・治療
レントゲン検査で骨折の有無を確認します。
病態や骨折後の経過時期によって治療はことなります。
腱断裂では一般に装具をつけての保存療法が行われ、骨折を伴う場合は手術療法を必要とすることがあります。

     

ばね指(弾発指)

・症状
屈筋腱と靭帯性腱鞘の間で炎症が起こると、指の付け根に痛み、腫れ、熱感が生じます。
これを腱鞘炎と呼び、進行するとばね現象が生じます。これがばね指です。
更年期の女性に起こることが多く、妊娠時、産後に生じることもあります。
糖尿病、透析患者さんにも発生し、母指、中指、環指に多くみられます。

・治療
指の使い過ぎにより腱鞘は肥厚したり腱が肥大し、通過障害おこすため一層症状が強くなります。
保存療法→局所の安静目的で装具をつけたり、腱鞘内に局麻剤入りステロイド注射をして症状を押さえます。
手術療法→保存療法で治らないときや、指が曲がったまま伸びないときは行います。

ガングリオン

・症状
関節の周辺に米粒大からピンポン玉くらいの腫瘤ができます。
手を使い過ぎると腫瘤は大きくなることもあり、手首の甲に出来ることが多く、軟らかいものから硬いものまであります。
不快感はありますが、多くの場合強い痛みはありません。ただし、神経が圧迫されると痛みがでることもあります。

・原因
関節包や腱鞘の変性により生じます。女性に多いですが、必ずしも手をよく使う人に多いとは限りません。

・治療
注射器で腫瘤を穿刺し、内容物がゼリー状ならガングリオンと診断します。小さいものはMRIや超音波検査が有効的です。
ガングリオンは放置しても心配はありませんが、大きくなるもの、痛みが強いもの、神経が圧迫される症状が出るものには治療が必要です。
注射器で内容物を吸引したり、繰り返し溜まる場合には手術で摘出する場合があります。
いずれの治療法でも再発する場合があります。